インナーSEOの基礎 その1「コンピュータの基礎は西欧文明である」

当ブログではしばらくSEOの簡単な歴史の流れについて触れてきました。
これからは具体的なスキルに触れていきたいと考えています。...と述べつつもまずは個別の内容に入っていく際の背景について触れていきます。

「コンピュータの基礎は西欧文明である」というお題を掲げてみました。
といっても当プログはWebに関する考察のブログですので、何も西欧文明の歴史や他地域との関わりについて触れようというお話ではありません。現在我々が触れているWebを構成する様々なプログラムやファイルの種類や形式を理解しやすくするために、コンピュータを生み出した西欧諸国の文化のうち関係しそうなところに触れてみましょうというお話です。

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ファイルは英語の文章の作り方をなぞっている

皆様は紙の上に書かれた英語の文書についてどのような印象をお持ちでしょうか。
よく言われる英語の文章の特徴は「先に結論が提示されていて、その下になぜそのような結論に至ったのかという理由が説明されている」ということでしょう。この順番は会話の中でも良く見られますし、特にビジネスでの英会話の中では顕著な気がします。

蛇足ですが、アメリカ人と話しているとよく聞く話の中に「日本人は自分の意見をはっきり言った方が良いと忠告される」というものがあります。こう言われてしまう原因にはもちろん自分の意見がないという人もいるからというのもあるのですが、同時に「まず説明をしてから自分の意思を最終的に述べる」といった日本語での言語の使い方の特徴が無意識に出てしまっているから、ということもありそうな気がしています。
ご存知の通り、日本語の言語としての最大の特徴は「文末決定性」です。これは平たく言えば英語とは真逆に、「まず理由を説明してから最後に結論を述べる」とパターンになります。ですから「意志」というものは大抵結論であることが多いことから、会話等では意志以外のことが先に述べられてその後結論や意志の表明となるのが日本語の会話ではほとんとだと思います。
これを英語での会話の中で用いると、特に英語圏のネイティブの方にとってはまだるっこしい感じがして、時には「この人は自分の意見がないのかな」と勘違いされてしまうこともあるのかもしれないなと最近感じます。

 

私自身はこの部分についてはICTの世界に例えるとOSの仕様の違いにしかすぎず、WindowsとMacOSの優劣を比較してもあまり意味がないのと同様に、優劣をつけるものではないと考えています。したがって個人的には英語で話さなければならない時や英語圏の方と日本語で話さなければならない場合はなるべく英語の流儀に合わせるように意識していますが、同時に英語圏の方には日本語の特徴について理解を深めていただければ嬉しいとも思っています。

英語の文章とHTMLファイル

話を元に戻します。
英語の文章のつくり方はまた次のように表すことができそうです。

-----英語の文章 ↓-----

[文章全体の題名]

[大題]
[文章: その説明の文章]

[中題: 大題を構成する要素の題]
[文章: その説明の文章]

[小題: 中題を構成する要素の題]
[文章: その説明の文章]

-----英語の文章 ↑-----


これをHTMLファイルに置き換えて構造を見てみましょう。

<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<title>文章全体の題名</title>
</head>

<body>
<h1>大題</h1>
<p>文章: その説明の文章</p>
<h2>中題: 大題を構成する要素の題</h2>
<p>文章: その説明の文章</p>
<h3>中題を構成する要素の題</h3>
<p>文章: その説明の文章</p>
</body>

</html>

ご存知のように<h1>, <h2>, <h3>といったタグは「題」を表し、数字が大きくなるのに合わせて「大題、中題、小題」を表すルールになっています。<p>タグは文章を表しています。いずれも</タグ名>で囲まれた範囲が表示される範囲となります。

お気づきのように、英語の文章のつくりとHTMLファイルの作り方はほぼ相似形といって良いと思います。西欧文明の中から生まれたコンピユータですから、それを動かすファイルは西欧諸国の言語と酷似しているというのはある意味当たり前なのでしょう。

そう言った視点からもう一度HTMLファイルを見てみましょう。
すると1つの法則性に近いものが浮かび上がってきます。つまり<h1>タグの後に<h2>タグがあるのが原則、ということです。仮にですが<h1>タグの前に<h2>タグがあったとしたら、これは英語の文章の流れからすると「不自然」であると言えます。
もちろんHTMLファイルは大変融通の効くファイルですので、現実に<h1>タグの前に<h2>タグがあったとしても表示がされないということはなく、問題なくは表示されます。
「それならばそんなに気にしなくてもいいんじゃないですか」という声が聞こえてきそうなのですが、1つ考えていただきたいことがあります。それは「検索エンジンも西欧文明の中から生まれてきたものである」ということです。検索エンジンのクローラにとって西欧の文章の流儀に依拠したページとそういうことは特に気にしないページがあった場合、どちらが情報を集めやすいかということです。もちろん前者が有利であろうということは容易に想像できます。こういったことも1つ、SEOを踏まえた今後のWebサイトづくりや運用のお役に立てるのではないかと考えています。

 次回に続きます。